Tuesday 25 December 2012

7回分のメリークリスマス!




楽しくて嬉しくてたまらない。メリークリスマス!
こんなに素敵なクリスマスは、ボクの猫生で初めてだ。

ロンドンでは、いつだって独りぼっちのクリスマスだった。
ずっとずっと7年間(7回)独りぼっちだった。
ダディとマミーはいつもゴッドドーターの家にクリスマスディナーに呼ばれて、7〜8時間帰ってこなかった。ボクは水道水といつもの普通食を与えられて。

今年のクリスマスは、ふたりはどこへも行かない、ウチで皆でパーティーだ。それに、今日はロンドンの自宅によく来ていたカオルちゃんが東京の我が家に来た。
「あー、カオルちゃん、また会えて良かった。嬉しいよ」
彼女はボクの本のデザインをしてくれた人だし、発行の手配をしてくれたアマちゃんも来ている。ボクにとって大切な人達なのだ。

「マミー、今宵はごちそう頼みますよ。ボクにもね」
 7回分のメリークリスマス!


追伸:
いつも“Pinot’s Diary” にアクセスしてくださり、有り難うございます。
「成田到着」から今日までまとめて書いてきましたが、追いつきましたので、今後は週一のペースでupしていきたいと思います。引き続き、ボクの奮闘ぶりに乞うご期待!

Monday 24 December 2012

おばあちゃん




 日本に引っ越して来て、いろいろな人に会ったけれど、今日初めて会った人は「おばあちゃん」。マミーのお母さんだ。


おばあちゃんはボクを見るなり「可愛い!」と言ってくれた。へへへ。でも本心はボクを怖がっているみたいだ。ボクの歯は鋭いので。ボクだって、おばあちゃんが怖いよ。だって、歯が一本もないのだから。ボクは爪も鋭い。おばあちゃんは? 爪はちゃんとある。

おばあちゃんは本当は猫が苦手なのだ。マミーも昔そうだったから仕方がない。親子だから似ているのだろう。マミーは、でも今、ボクを愛してる。だからおばあちゃんも、そのうちボクのことを本気で好きになってくれると思う。今日は初対面だから、これからじっくり、焦らず待つことにしよう。新しい家を見て「嬉しい嬉しい」と泣いていた。

ボクはもうそんなおばあちゃんが大好きになった。
メリークリスマス、おばあちゃん!

Sunday 23 December 2012

12/16 柿の木




ウチの庭に柿の木がある。ボクは果物が苦手だから、むろん柿など食べたことはないのだが、これは渋柿らしい。

この間なんか、ボクが窓辺で日向ぼっこをしていたら、二人のジョギング中のおばさんが通りがかり、未だ塀ができていないので、ずかずか入って来て、渋柿とはつゆ知らず、たわわに実った柿をひとつ、ふたつ、と、もぎっていた。

「ああ、オバさんたち、それは渋柿ですよ。ニャン…」
ダディがボクの鳴き声に気づき、
「ちょっと、他人のウチの柿を無断でとるのはよくないでしょう!? ほしかったらあげますから、断ってくださいよ」
結局、二つずつあげたようだが、ダディはシブだとは言わなかったような気がする。果たしてどうなったことか……。

今日は、姉さん夫婦とその息子夫婦が遊びにきて、最後の柿の収穫をした。これでもう、木の天辺の熟して甘くなった柿を突っつきにくるメジロたちに悩まされることもないだろう。どっさりとった柿を、今ダディがひとつずつきれいに洗ってヘタを切って、焼酎につけている。なかなか大変そうだ。

「一週間後が楽しみだわ」と、マミーの声が聞こえる。

Saturday 22 December 2012

12/11 マミムメモ パピプペポ




毎日いろいろな人がやって来ては、ボクを撫でる。工事に来る人、新築祝いに来る人、ダディとマミーに会いに来る人など。電気屋さん、ガス屋さん、水道屋さん、大工さん、お寿司屋さん、荷物配達人、建築家、執筆家、写真家,古物商人、料理店経営者、近所の人、親類、などなど。

今日は自称ネコ好きが来て、陽だまりで最高に幸せな気分で寝ていたら、ボクの身体を触りながらこう言った。
「わあ、やせっぽ! 栄養失調じゃないの!? 骨がゴリゴリしてる。ウチの肥満猫の瀕死のときと同じだ。この猫ももうじき死にそうだよ」
口の悪い姪っ子である。
「ボクはイギリス生まれのイギリス育ちだけれど、日本語が分かるんだナ、お嬢さん! ニャン…」
他人は撫でながらお世辞の一つも言ってくれるが、親戚ともなると、言いたい放題、本音でしゃべりまくる。

彼女の家では、今5匹の猫を飼っていて、名前はマ行で、それぞれ、マー、ミー、ムー、メー、モー、というらしい。へえー、と思ったが、「マミムメモ」と言ったら、一遍に5匹集まって便利かもしれない。6匹目は何行にするのだろうか。ボクだって、時々,ピーちゃんって呼ばれるし、パー君、プーちゃん、ペーちゃん、ポー君という兄弟がいても、ひとりっ子より却って楽しいかもしれないなあ。問題ないような気がしてきた。ABCとかコードナンバーよりずっとマシだろう。マミムメモ、パピプペポ…

Friday 21 December 2012

12/7 地震体験




ドーン! この間、大きくひと揺れした。「あっ、地震だ!」と皆が騒いでいた。新築の家が揺れて、ボクも一瞬たじろいでしまったが、勿論オープンハウスに集まった大勢の建築家達が高い上部構造を見ようと、一斉にジャンプしたわけではなかった。去年、ロンドンでテレビのニュースで見た、この揺れがあの日本の地震なのか、と実感した。

今日も地震があった。今日のはかなり長くて、階段のところでうろたえてしまったが、何とかマミーのベッドの下に隠れた。けれども、マミ−とダディにしてみれば、ボクのことなどは全く眼中になく、ボクの存在は完璧に忘れられていた。ただ彼らの心中にあったのは、火災(地震)保険にまだ加入していない、という心配だけだったのである。

日本は毎週地震が起きるのかなあ? もう、ボクにとって、地球の反対側の話ではなくなった。あのふたりは信頼できないし、自分の身の安全は自分で守らねばと、つくづく思う。

Thursday 20 December 2012

11/29 東京下町の猫になったボク



「日本では珍しい種類だね」
「下町にはいないネコだね」
と、訪問客が口々に言う。日本ではボクは珍猫らしい。

「あっ、マミー、庭にデカイ猫が来たヨ」
「見かけない猫ねえ。どこの家の猫かしら」
と、素っ気ない。ああ、ボクは家から出られない。ここからアイツを追っ払う手だてはないものか? あれっ、裏手にまわったぞ、どうしたらいいんだ。二階に行けば、裏が見えるかもしれない。ヨシ、階段をひとっ飛びだ。

ああ、お次はあの図々しいノラだ。
「新参者は問答無用! 俺のテリトリーだ!」
と、言わんばかりにドンドン奥まで入ってくる。勘違いも甚だしい。ボクの庭に無断侵入するなんて。
「待て! 今階段を駆け降りていくゾ! ギャーオギャーオ…」

下町じゃ、のんびり昼寝なんかしていられない。作戦をねらねば。いつか戦うゾ! ボクだって、東京下町の強い猫になったのだから。

Wednesday 19 December 2012

11/26 ボクのスクラッチポールが届いた日




今日は本当に嬉しかった。
二ヶ月前に船便に載せた、ボクのスクラッチポール(爪研ぎ)が届いたのだ。
他のたくさんの荷物の中にノッポのキリン発見!ああ、何となつかしい!
キリンは船旅の疲れも見せず、相変わらずトボケた顔でボクを見ている。

指先のムズムズがこれでやっと解消されるゾ。
う〜ん、気持ちいい!

Tuesday 18 December 2012

11/24 人ゾロゾロ




毎日毎日、我が家に人がやってくる。ボクを見ては「人なつこいネコですね」「きれいなネコですね」などと言われて、まんざら悪い気はしないのだが。

今日も窓辺で昼寝をしていたら、大勢の人がゾロゾロやってきた。通りがかりに覗いていく感じでもないし…。今日はオープンハウスとやらで、この家を見にきたらしい。


異常事態発生! こんなにたくさんの日本人を見たのは生まれて初めてだ。もううるさくてたまらない。防音、防寒、且つ雲隠れできる隠れ家的な所といえば? 二階のマミーのベッドの中しかないだろう。

ああ、ピースフル! しめしめと安堵したのも束の間、子供がドタドタ二階に上がってきて、突然掛け布団を捲り返した。「あっ、ネコだ! みんな、ここにネコがいるよ」と、ボクを玩具扱いする。だから子供は嫌なのだ。どこの国でも、ちびっ子は皆同じだ。


絶対に見つからないと思ったのに、どうして? どうやらマミーが暴露したようだ。

Monday 17 December 2012

11/23 はじめての散歩




お出かけ用の新しいバスケットが玄関先に置いてある。どうやら、もうすぐダディとマミーに連れられて、外出できるようだ。中に入って待っていよう。

あれは2、3日前だったか…
「ピノ、このバスケット見て!「ファミーユ」というペットフードショップで見つけたのよ」
と満足げに、ボクに見せた。ショルダーバッグにもなるし、イギリスっぽい柄がとても気に入ったようだ。ボクも、なかなか素敵だなと思った。

Wow! いよいよだ。ダディの肩にかけられた。だがそのうち…ダディの乱暴な歩行にともない、お尻のところでドンドンガンガン揺れ出した。もう少し横にずらしてくれたらいいのになあ、ボクの気持ちも知らないで。
「ピピ!」とマミーがボクの気をひき、パチパチ写真を撮っている。まったく暢気なものだ。成田空港事変(ダディはボクの命の恩人)以来、ボクはすっかり、お父さんっ子になってしまった。揺れはひどいが、まあ、はじめての散歩はなかなか気持ちがいいもんだ。

散歩コースは立石の商店街を通って、立石駅方面に向かっている。歩道が狭くて、何だかごちゃごちゃしているなあ。でもこれが下町の良さなのかもしれないな。そのうち馴染んでくるだろう…。「おっと危ない、また自転車だ。ニャン!」

さて、目的地は? ガーン! 立石動物病院だった。

Sunday 16 December 2012

11/19 はじめてのニッポン!




昨夕、ガランとした新しい家に辿り着いた。まず、マミーにトイレとご飯のボールのところに案内され、それを確認した。それから、とにかくすばやく隠れる所を探し、身の安全を確保した。ずっとずっと、ただ身を隠していたかった。

昨晩は何もなかったリビングが、今朝は太陽でいっぱいだ。すばらしい!
これが日本なのか、はじめてのニッポン! 毎日ポカポカ、のんびりうたた寝できると思ったのだが……。

Saturday 15 December 2012

11/18 成田到着



窓辺から何度も見たことはあるけれど、飛行機という名の超巨大鳥に飲み込まれ、ゴーゴーと鳴り続く、薄気味悪いお腹の中に閉じ込められてしまった。どのくらいの時間そこにいたのだろうか、独ぼっちで、空腹も感じないほどの不安と恐怖に耐えながら。まあ、大半は眠っていたような気もするけれど……。

とにかく最後は、凄まじい騒音に身体が吸い込まれていくようで,どうにもこうにもならなかった。しばらくすると、明かりが差し込み,誰かがボクのバスケットをひょいと持ち上げて歩き出した。ここはどこなのだろう? 次はどこに連れて行かれるのだろう? と、オドオドビクビクしていたら……

「あっ、ダディだ! オー、助かった!」
ダディがボクを助けにきてくれたのだ。こんな嬉しいことがあるだろうか。
「ダディ、ボクだよ。ピノだよ。ニャーオ…」
と、出来る限りの声量で鳴いたつもりだったが、声にはならなかった。こうしてボクは,ロンドンから成田空港に到着したのでした。

マミーの待つ検疫課に行き、そこでマイクロチップの読み取り。ボクの顔を見て、マミーはやっと一安心したようで、ボクもほっとした。
そして、晴れて親子三人(?)到着ロビーへと進んでいった。



Pinot's diary 再開




みなさん、お久しぶりです。お元気ですか。
いよいよ Pinot's Diary Part 2 再開です。約束通り、本日再開することができて、ボクは本当に嬉しいです。

 「ボクの気持ちも知らないでーちびまるピノの写真日記 in London 」
まず最初に、ロンドン在住中の"Pinot's Diary"が本になりましたのでお知らせします。これはブログを再構成、加筆、編集した完全オリジナル版です。新進気鋭のグラフィックデザイナー・佐藤薫さんの素敵な楽しいデザインです。

今回は、Part 2 東京下町編を明日から書き始めたいと思っていますが、海外引越で多忙だったため、日本に着いてから今日までのエピソードは、しばらくの間は、思い出しながらまとめて書いていきたいと思います。楽しみにしていてくださいね。ではみなさん、また宜しくお願いします。
Pinot’s Diary in Shitamachi Tokyo はじまり はじまり!

追伸:
マミー(大村じゅん)が長年に渡るイギリス生活のエピソード「ロンドンの空の下で」(エッセイ集)を発行しました。「ボクの気持ちも知らないで」もあわせて、それぞれ限定販売(¥1,500)いたしますので、ご希望の方は下記宛、是非メールをお願いします。

juneomura@gmail.com
june.pinot@gmail.com