Saturday 12 October 2013

非常事態発生!



10月だというのに、今週は暑くて大変だった。
ダディとマミーがいるときは、エアコンが入っていて、問題ないのだが、二人が出かけてしまうと、エアコンなしの閉めきった家でボクは本当に大変なのだ。

その上、今週は今までに経験したことのない非常事態に見舞われた。
マミーが朝、出かけ、その1、2時間後にダディも出かけた。ボクはトイレに行きたくなり、トイレに入ろうとしたのだけれど…、何とドアが閉まっているのだ。そ・そ・そ・そんな! どうしたらいいのだろうかと、うろたえてしまった。きっと不注意なダディがうっかり閉めてしまったのだろう。
しかしボクは我慢の限界に達した。床の上にしてしまったら、大変なことになる、と気をきかせ、階下におりて、マットの上にすることにした。

……四方をひっぱり、かぶせ、臭い物をなんとかカバーした。

マミーが午後帰って来て、発見! 驚きふためいていた。後始末、洗濯に手間をとられていたが、
「マミー、ごめんなさい。これがボクにできる最善の手段だったんだ」
と、ニャンと鳴いた。

その後、マミーは二階に上がり、トイレのドアが閉まっていることを知る。
ボクの不可解な行動を理解した。

夜、ダディが帰宅したらどうなることやら、と、いささか心配な夕べだった。


Saturday 5 October 2013

ふくらむ、ふくらむ、ボクのシッポが



あいつがまた来た。シッポが極端に短い、テールランプだ。

最近はあいつしか来なくなった。自分の縄張りだと思っているのだろうか。とんでもない勘違いだ。ここはボクの庭だぞ −−−− ボクはまだ一度も足を踏み入れたことのない禁断のなのだが。ボクはあいつを窓越しに怒鳴るばかりだ。

この間なんか、図々しく陣取っていた。ボクは閉まっている網戸をぶち破る勢いで激怒。下の留めた金具がはずれ、隙間を広げているところを、運悪くダディに見つかってしまった。ああ、オシかった!

こりずに今日もまた、あいつは素知らぬ振りしてやってきた。
今日は雨模様、右へ行っても左へ行っても、窓も網戸もしまったままだ。
どうすりゃいいいんだ!

「ピノ、シッポがずんずんふくらんでるよ」
と、ダディの声が遠くに聞こえる。

Saturday 28 September 2013

柿第一号、あまいのかな?



柿第一号、あまいのかな?
今年も柿が色づきはじめ、今日ダディが第一号をもぎとった。
かなり熟しているので、何だか甘そうにみえるけれど…
危ない、危ない。誘惑に負けてかぶりつき、渋かったら、大惨事になるぞ。

う〜ん、今日のところは慎重に。完熟するまで我慢かな? いずれ折をみて…。

Monday 23 September 2013

お彼岸



「ただいま〜、ピノ」
連休の最終日、お彼岸なので、マミーの姉、妹、その姉の息子夫婦とその子供二人、計6人がやってき家から徒歩5分ほどの所にあるお寺に、総計8人皆でお墓参りに行、今帰って来たのだ。

「お墓参りがあんなに込んでいたなんてびっくり。やっぱり休日はすごいわね」とマミーが言っている。そりゃそうだろう。我が家だけでも8人だ。各家が最低でも2、3人で、5、6人の家族もいるのだろうから、休日のお昼前のお寺の混雑振りは、容易に想像ができる。

二人の小さな子がボクを怖がっている様子だが、二人の叫び声と泣き声にこっちが逃げだしたい心境だ。

朝、近所のお花屋さんで買って来た供花がテーブルの上に置いてあったが、お墓参りのためだったようだ。

夕方には、入れ替わりに、友達が二人来て、終日終夜賑やかな一日だった。
じゃ、そろそろ寝ようかな。

Saturday 14 September 2013

Herbs from the garden



何か異様な臭いがするゾ!

ダディが庭からバジルをとって来てキッチンに置いた。何に使うのかと思っていたら、スパゲティのバジルソースを作るようだ。
しかし、我が家にはまだブレンダーがないので、細かくきざんで、すり鉢で地道にすり潰すらしい。

ああ、ますます悪臭が鼻をさす。ボクはもう我慢できず、前足でトイレの砂かけポーズを何回もしてみた。でもやっぱり臭いは消えない。

さあ、でき上がり!
「う〜ん、やっぱりおいしいね」と言いながら食べてい

食べ終わってから、マミーが叫んだ。
「あっ、にんにく、入れ忘れた!」

「あっ、ホントだ。何かひと味足りないと思ったんだ」
「でもまあ、おいしかったね」

この上、にんにくまできざまれたら、どうなったことか。忘れてくれて良かった。にんにく抜きでも十分おいしかったでしょう、とにっこりするボクである。

Saturday 7 September 2013

孫悟空の煙突掃除



「東京ストーブ」のお兄さんが二人やってきた。巨大掃除機が運び込まれ、ボクは階段のトップにすぐさま逃げた。

しかし、興味津々、おっかなびっくり、下を見下ろすと、どうやら薪ストーブの掃除が始まるようだ。お兄さんが一人しかいないなあと思った瞬間、「ビューンゴーゴー…」と凄まじい音がして、ボクは慌てて二階のベッドの下に逃げ込んだ。

しばらくして、何だか外が気になり、窓から上を見上げると、何ともう一人のお兄さんが棒を持って煙突の天辺にいた。ボクはふっと思った。孫悟空がキント雲に乗って我が家にやってきて、煙突にピョンと飛び降り、にょい棒で煙突掃除しているみたいだなあと。

そろそろ終わりのようなので、ボクは忍び足で階段を下りていった。
「最近の煙突掃除はススや埃がでないんですね」
と言って、マミーが二人に麦茶を差し出す。
高い所も何のその、勇敢な孫悟空のお兄さんは、煙突掃除したとは思えぬほど爽やに、軍手をはずして冷たいお茶をゴクンと一口、それからボクの頭を優しく撫でた。

悟空は一年に一回やってくるのかなあ? 悟空のおでこが汗で光っていた。

Saturday 31 August 2013

残暑に間に合った!


「ドサッ!」とダディが20mもの反物を置いた。「シュッシュッ!」とマミーがそれを広げ、麻の大波が次々に押し寄せる。ボクはすかさず波乗りをして遊んでいたのだけれど、やっぱり追い払われてしまった。いよいよカーテン作りが始まるのだ。この大きな窓辺に2mの長い麻のベールが美しくたれるのだろう。

マミーの書斎は麻の海に浮かぶ縫製工場と化した。針が落ちている可能性があるので、何時間もボクは立入禁止となってしまった。ここにもボクのベッドがあるのだけれど、仕方がない。

「ああ、残暑に間に合った! これでやっと柔らかな優しい日差しになるわ」と、二階の庭に面した窓にもカーテンを作って、マミーは喜んでいる。

しかしながら、これはボクにとって、大問題なのです。なぜかって?
外が見えなくなってしまったのですから。




Saturday 24 August 2013

こおろぎ



リリリリリリリリリリリリ リリリリリ

カタカナで書き表すのは非常に難しいのだが、最近は庭から聞こえてくるこんな虫の鳴き声に、夕方、夜中、明け方も睡眠を妨害されている。鳴き続けて、少し間が開き、また鳴き続ける。この繰り返しで、そのうちに鳴止んでいるのだ。これはコオロギという虫のようで、いろいろな種類があり、目的によって鳴き方も変わるらしい、怒り、嘆き、要求など––––生物はみな同じだなと思った。

「コオロギは喉じゃなくて、羽をこすり合わせて鳴いているのよ。日本にはいろんな虫がいるわね」とマミーが言っているが…。

ああ、きっと秋には秋の虫が喉や羽を競い合い、不調和音のコーラスにボクはまた睡眠不足になるのだろうなあ。悩み多き秋の夜長になりそうだ。

Saturday 17 August 2013

今までに経験のない暑い夏



ダディが不在のせいか、暑さのせいか、今週は来客なし。静かな週だった。
連日高温注意報のため、マミーは1、2時間の外出だけにひかえた。ネコ一匹のために冷房をつけたまま長時間出かけるわけにもいかず、しかし、冷房なしでは、いくらネコでも辛いだろうとの配慮からのようだが…。

マミーはテレビで甲子園観戦だ。「アー、ワー、オー」と熱くなっている。ボクも膝の上で、一緒に見ることにしよう。


ああ、猛暑の中、青春の情熱を燃やして戦っている日本の高校球児たち、なんて素晴らしいのだろう。このボクは、今までに経験のない暑さにうなだれている、だらしのないネコである。冷房の気持ちいい風を背中に感じつつ。



Saturday 10 August 2013

そして、セミの声



ジィージィージィージィー……
「何だ、この騒音は!?」

突然の耳障りな騒音に心地良いまどろみを妨害された。音源地はどこだ?
庭から聞こえてくるぞ。ああ、あの虫が発しているのか、と思っていると、
「あっ、セミだわ」とマミーが叫んだ。
日本にはハエよりもやっかいなセミといううるさい虫がいたのか!?

「一票を宜しくお願いします」都議会/参議院選挙のキャンペーンの声
「6時なりました。おうちに帰りましょう」町のアナウンスの声
「ご不要になった物がありましたら、お声をかけてください」廃品回収の声
「ウーウーウーウー」毎晩聞こえる救急車のサイレン
そして、
「ジィージィージィージィー」セミの声

東京はやかましい! あーあ、何てことだ。

「ピノ、日本の夏の風物詩よ。トンボ、セミ…それに甲子園」
と、甲子園で地元葛飾の修徳高校が一回戦を見事に勝ち、二回戦に進出したので、マミーは上機嫌だが、セミは夏の間ずっと鳴き続けるのだろうか?


Saturday 3 August 2013

うちネコの遊び方




ボクの家には人がよく来る 新顔、時々顔、常顔。
うちネコのボクにとって、これは本当に有り難いことだ。
外に出ることも許されず、うちに遊び相手がいるじゃなし、独り遊びにも限界を感じ、そりゃ庭には猫がたまに来て、大きな窓辺越しに怒りもするけれど、四六時中眠っているだけの退屈な猫生なんて、ボクらしくもない。

猫嫌いの人の場合、ボクはちょっかい出さず、おとなしく行儀良く振舞う。
猫好きの人の場合は、ボクはちょっかい出して、膝の上にちゃっかり座る。
小さな子供の場合は、ちょっかい出されるので、ボクは階段の上方に逃げる。

いつものように、ソファーの上でうたた寝をしていると、ダディもうらやむ、自由奔放な独身男性のMさん(常顔)がやって来た。ボクはゆっくりと起き上がり、昼ご飯をとった。しかし、どうにもこうにも眠くて眠くて…。二階に上がり、マミーとボクのシェアベッド(ボクの枕もちゃんとある)で熟睡してしまった。

しまった! 目が覚めたら、もう日暮れだった。でも、さあ、これから一緒に遊ぼうよと思ったら、今後はMさんとダディが寝入ってしまった。ボクが眠っている間ふたりのボーイズは何をしていたのか、遊び疲れたようだ。

「プゥープゥーグーグーグァーグァー…」
「ズゥーズゥーグーグーガーガー…」

いびき合戦が始まった。ボクはまた二階で、独りピースフルに夢の続きでも見ようかなあ。この時間帯、上はかなりむっとしているがこの騒音よりはましだろう。





Saturday 27 July 2013

トンボとアイスクリーム




柿の実がだいぶ大きくなってきたなあ。あれっ、あれは何だろう? と思っていたら、
「あっ、車のアンテナにトンボがとまっているよ、ピノ」
と、打ち合わせに来ていたHさんが教えてくれた。

初めて見るトンボという虫透き通る美しい羽、縞模様の長い尾っぽ

か細い足でアンテナの下側に、どうして何分もとまっていられるのだろうか。ボクだったら、木に一瞬しかぶらさがっていられないのにな、と思った。「あれは、しおからトンボかしら?」マミーがそう呟くと、ボクは何トンボでもいいではないかと思ったのだけれど、彼は早速検索して、「しおからトンボのメスみたい」と言う。その返答にマミーがにっこり笑った。

「アイスクリームをあげるね、ピノ」
と、マミーが手のひらをボクの鼻先に近づけた。

ボクは初めてあこがれのアイスクリームをなめた。日本のあまりの暑さに、一口だけ、オファーしてくれたのだ。
ひとなめしたら、冷たかった。
もうひとなめしたら、あまかった。
もうひとなめしようとしたら、手のひらが見えた。
ああ、おいしかった。

一日に、ふたつも小さな発見をしたボクだった。

Saturday 20 July 2013

語学教室オープン!



今週から、マミー(大村じゅん)がAnchovy Studio で語学教室(イギリス英語、日本語)を始めました。生徒さん、秘かに募集中です。(juneomura@gmail.com)

一番乗りのNO.1 Mさん(英語学習)。この暑い7月に勉強を始めるなんて、何て勇敢で真面目な人なのだろう。ボクはベッドの中から「わあ、良くできました」「えっ、分からないの? 頑張ってよ」などと、勝手に心の中で拍手をおくったり応援したりしていた。

ボクは、話、読、書、は無論できないけれど、生粋のイギリス生まれ、イギリス育ちだから、聞いて理解するのは、朝飯まえなのだ。あっそうか、そうなの?、そうそう、ふうん、分からない、知ってるよ、などなど、お邪魔猫にならぬよう控えめに、無断で飛び入り参加していたのだが…。

あっ、しまった! 気がつくと、もうレッスンが終わるところだった。どうやら居眠りをしてしまったようだ。「じゃ、残りは宿題ね」と、Mさんはタスクを課せられた。このボクは、うたた寝していて、宿題もなし。やっぱりネコは気楽でいいや。

帰りにMさんはボクの頭を撫でながら、「また来週ね、ピノ」。
素敵な女性だなあと思った。
                               
                                               

Saturday 13 July 2013

小さなミョウガ見つけた!



「あっ、出てきた。ここにも、あそこにも。小さなミョウガ見つけた!」
と、マミーが声をあげた。この猛暑の中、ミョウガが元気に顔をのぞかせたようだ。

「ほら、ピノ、見てちょうだい。みょうがの花穂よ」
と、ボクに見せる。だが…、今日の収穫は小さなミョウガがみっつ。この前は確かナスがふたつだったなあ。これっぽっちなのに、なぜか嬉しいようだ。どうやらこれを薬味にして、この猛暑をソーメンで乗り切るつもりらしい。その喜びは分からないでもないが、ミョウガの群生から、これからどんどん花穂が出てくるのでしょう? 飽きるまで、ミョウガでソーメン召し上がれ!

のボクは、春夏秋冬、明けても暮れても、一年中相変わらずの食べ物でも、どういうわけかちっとも飽きることはないのだが…、ネコもやはり何かこうスーッとするものが味わえたらな、と日本の猛暑の日々に思う。

Saturday 6 July 2013

あつ〜い!





あつい、あついよ〜! 
東京の下町は、人情だけではなく、太陽もこんなにあつかったのか! 右にころがっても、左にころがっても、どうころがってもあついのだ。毛繕いもしてみたが、体感温度に変化なし。

もうすぐ梅雨明け。お次は? 灼熱の太陽が今か今かと出番待ちをしているのだろう。初めての日本の夏、ちょっと不安になってきましたゾ。

Sunday 30 June 2013

茅の輪くぐり




ちょっとそこの神社まで行ってくる、と言ってマミーが出て行った。
この前お祭りがあって、外出禁止のボクの窓辺までお囃子が聞こえてきたのだが、今日は静かだが今度は一体何事だろう。日本にはいろいろな神事があるようだ。

しばらくすると、「茅の輪くぐりをしてきたのよ」と、さわやかな面持ちで戻ってきた。ボクがきょとんとしていると、マミー曰く、「茅の輪(ちのわ)くぐり」とは、茅草で作られた直径3メートルの大きな輪を、左、右、左、と3回くぐってまわると、この半年間の罪けがれ、疫病がはらわれ、心身が清らかになるという昔から伝わるお祈りだそうだ。

しかし、お祈りなので、ただ回ればいいのではなく、何やら難しい古歌を唱えながらくぐるようで、もしもボクが実行できるとしても、ただ1回ピョンとまたいで、ニャンと唱え、左でも右でも好きな方に一回まわっておしまい、ってことになるのだろうなと思った。その古歌とは、

水無月の夏越しの祓(なごしのはらえ)する人は千歳の命延ぶといふなり

前半は「夏越の祓」六月三十日執行だが、後半の半年間の罪けがれはどうなるのだろうかと思ったら、年末にも茅の輪をくぐる「年越の祓」があるらしい。やれやれ。

Saturday 22 June 2013

ふたつの茄子



いつものように窓辺から庭を眺めると、いつも細い木にぶらさがっていた、ふたつの茄子がない。少しずつ育っていくのを毎日観察し、この長雨でぐーんと大きくなっているだろうと思っていたのだ。どうしたのだろうか。猫たちが食べるはずもなし。

渋い紫色のつやつやしたふたつの茄子をキッチンに発見した。どうやら初めての収穫をダディとマミーが今晩試食するようだ。ボクは得意の忍び足で近づいて、においを嗅いでみたが、無臭。いい香りでもすれば、この湿った梅雨時、ずいぶん心地よいのだろうが。香りすらないのでは、ボクには何の得もなし。しかしこうして側で見てみると、なかなか面白いシェイプをしているなあ。

次のふたつの茄子が実をつけるまで、茄子鑑賞は当分なさそうだ。あくびがでそうだなあ。でもこの退屈な空間はこれからは雑草で賑わうのかなと思った。

Saturday 15 June 2013

デデデデデっか〜い!



デデデデデっか〜い!
「こんなにでっかいパンツがあるのか!!」
「小錦が履くサイズねえ」
と、マミーもボクもびっくり仰天している。
これなら、どんなに太鼓腹になっても、ルースフィットだろう。

ロケからダディがこのパンツを持ち帰ったのだ。何と四枚も!
ロケ先はタイ。その他に竹細工もいろいろと買ってきた。
「こうやって、ウエストのところで巻いて履くんだよ」
と言って、早速ジーンズからこのデカパンに履き替えた。
「帰ってきたばかりだけど、今晩出かけるだ。このパンツで電車に乗っても大丈夫かなあ?」
と、自慢が不安に入れ代わった。
ボクにしてみれば、好きにしたら、というところだけれど…。

ところで、ボクにはお土産はないの!?

Saturday 8 June 2013

とんだ誕生日




6月6日、8歳になった。そして今年は日本で誕生日を迎えた。
Happy Birthday, Pinot! ああ、もう8年、あっという間ねえ…」
と、子猫のときの写真を見ながらマミーがボクを撫でる。

ボクにしてみれば、誕生日だからといって、おやつの量が普段より少々多めなだけで、サプライズもなく、別段いつもと変わりはないのだが…。

塀の下をくぐって、テールランプがやってきた。誕生日のお祝いに来たはずもなく、一体何しに来たのだろうかと、ボクは気がきではなかった。するとピョンと柿の木に飛び乗った。柿の実はまだまだなのに、小鳥でもいるのかな? と思ったら、斜め上向きの幹で爪研ぎを始めたのだ。なかなかいい所を見つけたものだ。その後、木から飛び降り、すぐさま奥に視線を向けた。

そこまで! これ以上ボクの庭で悪さは許さない。ボクのシッポはどんどん膨らみリスのシッポとなり、耳はイカ耳になった。ボクは行ったり来たり、階段を一気にジャンプして上に行ったり下に行ったり、必死に駆け回った。おやつを準備しているマミーをちらちら見ながら…。

ああ、飛んだハッピーバースデーだった。

でも、嬉しいことに、
“Dear Pinot, Happy Birthday!”
と、ロケに出ているダディから、その夜遅くバースデーメールが届いた。
やっぱりダディはカッコいい!

Saturday 1 June 2013

お尻が赤いよ!




日本に来て、三度目の病院である。
一回目とニ回目は、ちょっとしたご挨拶と足の裏の脱毛対策だったが、今回は久々に持病が出た。昨日まで、越してきて以来何ともなかったので、ボク自身、ダディーもマミーも、日本に来て住宅環境と気候の変化で治ってしまったのでは、と思っていたのだ。しかし、
「ピノ、お尻が赤いよ!」
と、大騒ぎになり、今朝、玄関先にバスケットが準備されていた。

とうとうお尻が腫れて、日本で初めての肛門腺の絞り出し。病院の待合室で忘れていた地獄が蘇ってきた。運良くあまり混んでいなかったので、さほど待たされずに治療室に入った。だが、二人に押さえつけられ、想像通りボクはもうずっと悲鳴ともつかぬうめき声をあげっぱなしだった。でも、お尻にもうひとつ穴を開けずにすんだので、注射も一週間の飲み薬も免れ、ありがたや、ありがたや。

今日だけ一日おとなしくしていれば、明日からまた走り回れることだろう。
先生、いきなりお尻を向けてごめんなさい、と頭を下げるボクだった。

Saturday 25 May 2013

シッポが見えてるよ!




先週、駐車場ゲート完成の数日前に、実はこんなハプニングがあったのです。

あれっ、庭に出る二重のドアが開いている。ダディが門扉作りのために、出たり入ったりしているので、案の定、締め忘れたのだろう。ダディの不注意な性格のおかげで、とうとうエスケープの時が来た。近々きっと、早ければ今週あたりにでも、このチャンスがやってくるとボクは確信していたのだ。

ああ、庭だ、外だ、ボクの世界だ! だが、戸口のところでゆっくりはしていられない。すぐに行き先を決めなければ見つかってしまう。オッと、右へ行けば、作業に専念しているダディがいる。ならば、左へ行こう。

はて、ここからどうするか? 左へ廻れば、家の玄関に出られるはず。眼前には囲いがあり、その向こうに家が立ちはだかっている。こんな囲いを飛び越えるのは容易いことだが…、右を見ると、境界線に塀はなく、何やら面白そうな石がいろいろ積んである。よし、探検してみよう。

この家もどうやら石屋だったようだ。不用になったいくつもの石灯籠が行き先もなく、雑草の上にゴロゴロしている。「ピノ、ピノ…」遠くのほうでボクを呼ぶマミーの声が聞こえる。ひとまず、灯籠の後ろに隠れて遊んでいよう。

どのくらいの時がたったのだろうか、見上げると、そこにダディがいた。すかさず、えり首をグイッとつかまれ、ひっぱり上げられた。
「シッポが見えてたよ」
上手に隠れたつもりだったのに…。

「性格というのはなかなか直らないものだから、そのうちまた、チャンスがあるね、ダディ、ニャ〜ン!」と、ぶら下げられたまま、ダディに不注意を促すボクである。

ああ、楽しかった。マミーが心配しているからそろそろ帰ろう。