Saturday 27 July 2013

トンボとアイスクリーム




柿の実がだいぶ大きくなってきたなあ。あれっ、あれは何だろう? と思っていたら、
「あっ、車のアンテナにトンボがとまっているよ、ピノ」
と、打ち合わせに来ていたHさんが教えてくれた。

初めて見るトンボという虫透き通る美しい羽、縞模様の長い尾っぽ

か細い足でアンテナの下側に、どうして何分もとまっていられるのだろうか。ボクだったら、木に一瞬しかぶらさがっていられないのにな、と思った。「あれは、しおからトンボかしら?」マミーがそう呟くと、ボクは何トンボでもいいではないかと思ったのだけれど、彼は早速検索して、「しおからトンボのメスみたい」と言う。その返答にマミーがにっこり笑った。

「アイスクリームをあげるね、ピノ」
と、マミーが手のひらをボクの鼻先に近づけた。

ボクは初めてあこがれのアイスクリームをなめた。日本のあまりの暑さに、一口だけ、オファーしてくれたのだ。
ひとなめしたら、冷たかった。
もうひとなめしたら、あまかった。
もうひとなめしようとしたら、手のひらが見えた。
ああ、おいしかった。

一日に、ふたつも小さな発見をしたボクだった。

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