Saturday 31 August 2013

残暑に間に合った!


「ドサッ!」とダディが20mもの反物を置いた。「シュッシュッ!」とマミーがそれを広げ、麻の大波が次々に押し寄せる。ボクはすかさず波乗りをして遊んでいたのだけれど、やっぱり追い払われてしまった。いよいよカーテン作りが始まるのだ。この大きな窓辺に2mの長い麻のベールが美しくたれるのだろう。

マミーの書斎は麻の海に浮かぶ縫製工場と化した。針が落ちている可能性があるので、何時間もボクは立入禁止となってしまった。ここにもボクのベッドがあるのだけれど、仕方がない。

「ああ、残暑に間に合った! これでやっと柔らかな優しい日差しになるわ」と、二階の庭に面した窓にもカーテンを作って、マミーは喜んでいる。

しかしながら、これはボクにとって、大問題なのです。なぜかって?
外が見えなくなってしまったのですから。




Saturday 24 August 2013

こおろぎ



リリリリリリリリリリリリ リリリリリ

カタカナで書き表すのは非常に難しいのだが、最近は庭から聞こえてくるこんな虫の鳴き声に、夕方、夜中、明け方も睡眠を妨害されている。鳴き続けて、少し間が開き、また鳴き続ける。この繰り返しで、そのうちに鳴止んでいるのだ。これはコオロギという虫のようで、いろいろな種類があり、目的によって鳴き方も変わるらしい、怒り、嘆き、要求など––––生物はみな同じだなと思った。

「コオロギは喉じゃなくて、羽をこすり合わせて鳴いているのよ。日本にはいろんな虫がいるわね」とマミーが言っているが…。

ああ、きっと秋には秋の虫が喉や羽を競い合い、不調和音のコーラスにボクはまた睡眠不足になるのだろうなあ。悩み多き秋の夜長になりそうだ。

Saturday 17 August 2013

今までに経験のない暑い夏



ダディが不在のせいか、暑さのせいか、今週は来客なし。静かな週だった。
連日高温注意報のため、マミーは1、2時間の外出だけにひかえた。ネコ一匹のために冷房をつけたまま長時間出かけるわけにもいかず、しかし、冷房なしでは、いくらネコでも辛いだろうとの配慮からのようだが…。

マミーはテレビで甲子園観戦だ。「アー、ワー、オー」と熱くなっている。ボクも膝の上で、一緒に見ることにしよう。


ああ、猛暑の中、青春の情熱を燃やして戦っている日本の高校球児たち、なんて素晴らしいのだろう。このボクは、今までに経験のない暑さにうなだれている、だらしのないネコである。冷房の気持ちいい風を背中に感じつつ。



Saturday 10 August 2013

そして、セミの声



ジィージィージィージィー……
「何だ、この騒音は!?」

突然の耳障りな騒音に心地良いまどろみを妨害された。音源地はどこだ?
庭から聞こえてくるぞ。ああ、あの虫が発しているのか、と思っていると、
「あっ、セミだわ」とマミーが叫んだ。
日本にはハエよりもやっかいなセミといううるさい虫がいたのか!?

「一票を宜しくお願いします」都議会/参議院選挙のキャンペーンの声
「6時なりました。おうちに帰りましょう」町のアナウンスの声
「ご不要になった物がありましたら、お声をかけてください」廃品回収の声
「ウーウーウーウー」毎晩聞こえる救急車のサイレン
そして、
「ジィージィージィージィー」セミの声

東京はやかましい! あーあ、何てことだ。

「ピノ、日本の夏の風物詩よ。トンボ、セミ…それに甲子園」
と、甲子園で地元葛飾の修徳高校が一回戦を見事に勝ち、二回戦に進出したので、マミーは上機嫌だが、セミは夏の間ずっと鳴き続けるのだろうか?


Saturday 3 August 2013

うちネコの遊び方




ボクの家には人がよく来る 新顔、時々顔、常顔。
うちネコのボクにとって、これは本当に有り難いことだ。
外に出ることも許されず、うちに遊び相手がいるじゃなし、独り遊びにも限界を感じ、そりゃ庭には猫がたまに来て、大きな窓辺越しに怒りもするけれど、四六時中眠っているだけの退屈な猫生なんて、ボクらしくもない。

猫嫌いの人の場合、ボクはちょっかい出さず、おとなしく行儀良く振舞う。
猫好きの人の場合は、ボクはちょっかい出して、膝の上にちゃっかり座る。
小さな子供の場合は、ちょっかい出されるので、ボクは階段の上方に逃げる。

いつものように、ソファーの上でうたた寝をしていると、ダディもうらやむ、自由奔放な独身男性のMさん(常顔)がやって来た。ボクはゆっくりと起き上がり、昼ご飯をとった。しかし、どうにもこうにも眠くて眠くて…。二階に上がり、マミーとボクのシェアベッド(ボクの枕もちゃんとある)で熟睡してしまった。

しまった! 目が覚めたら、もう日暮れだった。でも、さあ、これから一緒に遊ぼうよと思ったら、今後はMさんとダディが寝入ってしまった。ボクが眠っている間ふたりのボーイズは何をしていたのか、遊び疲れたようだ。

「プゥープゥーグーグーグァーグァー…」
「ズゥーズゥーグーグーガーガー…」

いびき合戦が始まった。ボクはまた二階で、独りピースフルに夢の続きでも見ようかなあ。この時間帯、上はかなりむっとしているがこの騒音よりはましだろう。