「ドサッ!」とダディが20mもの反物を置いた。「シュッシュッ!」とマミーがそれを広げ、麻の大波が次々に押し寄せる。ボクはすかさず波乗りをして遊んでいたのだけれど、やっぱり追い払われてしまった。いよいよカーテン作りが始まるのだ。この大きな窓辺に2mの長い麻のベールが美しくたれるのだろう。
マミーの書斎は麻の海に浮かぶ縫製工場と化した。針が落ちている可能性があるので、何時間もボクは立入禁止となってしまった。ここにもボクのベッドがあるのだけれど、仕方がない。
「ああ、残暑に間に合った! これでやっと柔らかな優しい日差しになるわ」と、二階の庭に面した窓にもカーテンを作って、マミーは喜んでいる。
しかしながら、これはボクにとって、大問題なのです。なぜかって?
外が見えなくなってしまったのですから。
外が見えなくなってしまったのですから。