我が家に、「家を建てるなら、絶対に薪ストーブをつける!」と、わがままを通し抜いたダディの自慢の薪ストーブがある。
高価だし、東京はさほど寒くはないし、それに火を焚くのは面倒だから、というマミーの反論を完全に退けた、ダディの勝利だ。
ボクは決して口を挟まなかった。なぜなら、薪ストーブも東京の寒さもボクには全く身に覚えのないことだから。
こうして、パチパチと燃えはじく薪、メラメラと揺れる炎を眺めながら、うつらうつらしてゆくのは、世のご主人方と猫にとって肉体的且つ心理的に許された、究極の怠慢だな、と、ダディとその友人たちの赤ら顔をぼんやりと上目づかいに見ながら、ボクはそう思った。しだいに我らは思考力を失い、寝入ってしまうのだろう、残り火がくすぶるころには。
「ピピ! またそんなに近づいて、危ないでしょう! 体がこんなに熱いじゃないの、感じないの!? 焦げネコになったらどうするの!?」
と、マミーに唐突に起こされ、むりやり横に追いやられた。
ああ、ちっとアツかったかな。
焦げネコのタンゴ、タンゴ、タンゴ♪
もうすぐは〜るですねえ、ニャン♪
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