Saturday 20 April 2013

「旭カレー・ルウ」と甘らっきょう




ボクが安眠していると、鼻のところに、マミーが無造作に何やら置いた。
Ohhhh…ツツーンと鼻をさすカレーのシャープな臭い。天使のようにスヤスヤ眠っていたのに! カレーの臭いに起こされるなんて! マミーはどうしてこんな無鉄砲なことをするのだろうと思っていたら、首にかけたカメラでパチパチ写真を撮り始めた。もうボクの鼻の頭はカラカラ、瞼はしょぼしょぼ、頭の中はツンツン。まだ終わらないのかなあ…。


この前、久しぶりに家に遊びに来た昔の仲間と、近所の「ゑびす」(居酒屋)に行ったその帰り道の出来事。マミー曰く、商店街を歩いていたら、普段は通り過ぎてしまう老舗味噌屋の店先に、昔懐かしいパッケージとその色をたたえて、「旭カレー・ルウ」が並べてある。これも古い下町葛飾の味だけれども、なぜに味噌屋に? でも、まあ、考えてみれば、お味噌もカレールウも味こそは違うが、具の入った汁に入れて溶かすだけ。同じプロセスではないかと合点したという。

「ウチの亭主が好きなのよ、これ」
と、Miちゃんが甘らっきょうを手に取り、その横のカレールウも一緒に買い求めた。
「亭主の好きな甘らっきょうかあ、いいなあ」
「Miちゃん、いい女房だねえ」
「そりゃそうよ。アッハハハ」
こんな楽しげな三人を見てか、
「皆さん『ゑびす』の帰り? 甘らっきょうもいい味だけど、この間、ウチの店、テレビに出たんですよ。このカレールウが紹介されてね。カレーうどんにしてもとってもおいしいですよ」
と言う店主の甘辛な言葉にのせられて、カレーうどんが好物のマミーも一袋購入。「カレー鍋にぴったり!」と、カレー鍋うどんがお得意のMaちゃんも、迷わず買ったそうだ。

袋に密閉されていても、こんなに強烈にプンプン臭うのだから、いつ料理するかは知らないが、家中に充満するカレーの臭いを想像すると、鼻が硬直する。

「ああ、いい匂い。昭和22年創業、香り高く、コク深い…、あらっ、これ10人前と書いてあるわ。何回もできるわね。じゃ、今晩さっそく作りましょう。今日は底冷えがするし、この間カレー鍋のレシピもMaちゃんに教えてもらったことだし、パーフェクトだわ」

ああ、10人前か…。逃げようのないスパイシーな空気の中で、いずれボクは飽和点に達するのだろう。



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