Saturday 27 April 2013

ターク社フライパンとダディとの関係



ボクの家に自慢のフライパンがある。ロンドンに住んでいたときから、ずっと使っていたもので、海外引越船便に忘れずに押し込まれた。今は、東京の我が家のキッチンで出番を待っている。

もう何年も前になるが、「食」に拘るダディは、熟練した職人がひとつひとつ手間ひまかけてフライパンを作り上げるすばらしさを、是非見てみたいと、カメラを片手にドイツのターク社の工場を訪ねた。「わざわざドイツまで来て、手ぶらでは帰れぬ」と、一つ購入して、誇らしげに手に提げて帰ってきた。これは、鉄の塊を一枚の板にして形成されたフライパンで、ボクがどんなに奮闘してもビクともしない、ずっしり重い伝統の逸品である。

あらゆる食材がおいしく仕上がるそうだが、特にステーキに最適で、「自慢のステーキが焼き上がる!」と、我が家の料理長(ダディ)はご満悦の様子だ。今晩はステーキなのかな? でも、どうせボクにはくれないし……。

「こらっ、ピノ、そこで何してんの!?」
「なんにもしてないよ。シェフの美しいフライパンを見ているだけだよ、ごくごく近距離でね。ニャン」

No comments:

Post a Comment