Sunday 6 January 2013

お兄ちゃんの伝書鳩




今日はマミーのお兄さん、ボクにとっては伯父さんにあたる人が来る予定だったのだけれど、仕事で来られなくなってしまった。残念だ。
「ロンドンの空の下で」(エッセイ集)の中のエピソード、「お兄ちゃんの青い水筒」の、あのお兄ちゃんだ。


マミーが写真を見せてくれた。マミーによく似ている。そっくりだと思った。似てないところといえば、オジさんは「ハゲだ!」というところぐらいだろうか。もうひとつ、違うところがある。それは、子供の頃から、小鳥、ひよこ、ハムスター,鳩などを飼って育てていたそうで、大の動物好きなのである。

マミーからとてもいい話を聞いた。それは、

「私達がまだ子供だった頃,1964年の東京オリンピックのときにね、開会式で競技場から、たくさんの真っ白な伝書鳩たちが一斉に大空に飛び立ったのよ。本当にきれい! お兄ちゃんの伝書鳩もその中にいたの。ここは下町だから、とっても遠いでしょう。でも、お兄ちゃんの鳩は自分の家までちゃんと帰って来たの。お利口でしょう!? そのご褒美に日本伝書鳩協会から放鳩記念メダルをいただいたのよ」

その記念メダルをマミーは今もちゃんと「お兄ちゃん」のために、大切にとってあるという。オジさんはきっと知らないのだろうなあ。
ボクなんかちょっとその辺りに出ただけでも、家まで帰って来られるかどうか自信喪失で、情けないネコなのに、オジさんの伝書鳩は本当にスゴイなあ、と思った。

「でもその後、悲劇が起きたの」とマミーの話は続いた。それは…


「ある日、お兄ちゃんがいつも通り、学校から帰ってきて、梯子のかかった鳩小屋を見上げると、様子が変だったのね。急いで、その梯子を上ったのだけれど、鳩たちは…、みーんな殺されて、食べられて…。当時は宗教入会を勧誘する人がたびたび来てね。その日は犬を連れて来て、庭にその犬を置いたまま長居していたものだから、皆殺し…」

ボクは鳩も小鳥も決して殺さない、と心に誓った。

No comments:

Post a Comment